日本ハム日本一おめでとう記念色々

というわけで、思いっきり機を逃した感がありますが、チロッと書いてみようかと思いますだよ。

新庄剛志について

3年前、新庄が帰ってきた時はあんまり興味なくて、いやむしろぶっちゃけ嫌ってて(ごめん!)、どちらかっていうと同じ時期に帰ってきたササキ様に興奮していた方だった。
そんときに、TBSでやってた珍プレー番組で新庄特集をやってたんだけど、録ってたんだけど、流し見で、あんまり良く見なかったんだよな。

んで、初めて見に行ったハマスタのオープン戦が対日ハム戦で、あーこいつが新庄なのかー、ていう感じで、あんまり性能の良くないケータイのカメラで写真を撮ってみたりもした。
まあそんときは佐伯さんのびっくりソロムランの方が印象強かったりもしたわけなんだけど(笑)


それが、あの時の球界再編騒動が始まって、オールスター戦になった時、第一戦目、セとパがなんかピリピリしてたんだよ。当たり前と言えば当たり前なんだけど、なんか悲しかったんよ。

ところが、その空気を吹き飛ばしたんだよ、新庄が。
ホームラン予告しといてセーフティバント打ったりさ。ホームスチールかましてさ。ホームの辺りで寝転んだままバンバン叩いてさ。
そして、MVPまで取っちゃってさ。
ヒーローインタビューでは、みんなしてなんか和やかになっちゃって、みんなしてにこやかになっちゃって、空気がいい感じになっててさ。

それを見た時、今まで嫌いだったのがどっかすっとんでって、一気に興味を持つようになって。
ネットで色々調べてみたら、思った以上に凄い人なんじゃないかと思い始めて。


そして、あのサヨナラ満塁ホームラン未遂(爆)が決定的だったなあ。
満員の札幌ドーム、その観客に向かって今日のヒーローはみんなです!!と言い切ったこの人に、すっかり魅了されてた。
んでもって更に、明日も勝つ!!の呪いを解いて。
監督をニーローインタビューへと、その背中を押した。

この二つの試合を見た時、確信したのかもしんない。
この人はまた、いや絶対に、ここで何かを起こす、ということを。


この頃に、先のTBSの特集を見直した。
なんで、あの時じっくり見てなかったんだろう。おいらの目は節穴じゃー。
自分の不覚振りに激しく後悔した。


その翌年の開幕戦、せっかく被り物をしたのに故障してて出場出来なくて、打撃も不調で、動きもあまり良くなくて。
ある試合で、試合に出場してなくて、ベンチの付近でひなたぼっこしてるのみた時に。

その姿に、なにか力を溜めているような、まるでマグマを貯め込んでいる休火山の様な物を感じていて。
でもその一方で、なにか、ある予感めいた物も感じ始めていた。


その予感は、翌年、現実になった。
だから、その言葉が彼の口から出てきた時に、あまり驚きもなくすんなりと受け入れてた。


そうか、今年が新庄の最後の年になるんか………。
そう思った時に、ふと思い出したのが去年のあの人の姿。
リーグ優勝したことがなく、当然日本一になったこともなく、引退を宣言し、自らが奇跡を起こし、最後の夢を現実にした男。


初芝清


彼のあの時の姿と、彼の今の姿が、ふと重なって見えた。

まさか、なあ。
2年連続同じことが起こってたまるかい。

と、思っていたんだ、けど。

少しずつ、少しずつ、何かが起こり始めた。


新庄の弟子になってた稀哲が覚醒し、いつのまにか段々上位に上がってきて、プレーオフ圏内に入り、プレーオフ進出が決定し、3位どころか2位、1位の話になってきて。

シーズンを1位で通過して。
プレーオフでホークスをサヨナラ勝ちで下し、リーグ優勝を決めた。


まさか、まさか。


日本シリーズ第1戦、ダルで負けた。
やべえ、録ってなかったからかなあ、次は録ってみっか。


第2戦、ナゴドで勝った。ビジターで勝ったどー。
次からも録り続けてみよか。


第3戦、ホームで勝った。小笠原も打ったぞ。


でも次が山場だよ、金村で勝たなきゃどうなるか。


そして第4戦、金村が踏ん張ったよ。5回の表、ヒルマンやるじゃんw
金村で勝てた。良かった良かった。


ここまできた、あともう一つ。
次、川上でダルならもしかしたら。
ダルの反骨心を舐めちゃあいけない。


第5戦。案の定ダル気合い入りまくりで。そして川上が力尽きた。
第1戦での負けがこんな形で来たやあね。

その日は仕事だったんだけど、かろうじて最後には間に合った。
マイコーさんが投げる。皆が守る。更に皆が見守る。満員の観客が歓声を上げる。


そして、新庄が、泣いていた。


私は、いつからこの結末を予想していたんだろう。


あのオールスター戦のヒーローインタビューを見た時からか。
あのサヨナラ満塁ホームラン未遂を見た時からか。
あの引退ヒーローインタビューを見た時からか。


それとも、あの時、フォークで三振に打ち取られた、赤いリストバンドをした青年を見た、その時からか。


打球は打ち上がり、稀哲がちょっとジャンプして取り、そのまま新庄に駆け寄り、二人は抱き合い、新庄は泣きじゃくり、歓喜の輪が広がり、その脇を通り抜け坪井は新庄に直接駆け寄り、銀吹雪が空を舞い、場内は歓声に包まれる。


徐々に皆が彼の元に集い始め、やがて、彼は空へと舞った。


かくして、物語は最高のフィナーレとなった。
そして、彼の冒険は、終わりを告げた。


昨日、またTBSであの時の映像を交えた新庄特集がやっていた。

阪神からメジャーへの道のり、大リーグからマイナーへ、マイナーでも踏ん張ってみて。
そして、北の大地へとやってきた男。

それからの冒険の日々。少しずつ周りを巻き込んでいって、事象は一から大へ、あらゆる物を飲み込んでいって、最高のフィナーレへ。


その中で、日本シリーズの前にやっていた紅白戦ついでのホームラン&ベースランニング大会の模様があって。
稀哲が司会やって、稲葉や新庄が打って、稀哲が走って。
ほんの余興なのに、大歓声に包まれて。

ああ、こら適うわけないよなあ。


そんなことを思っていたら、不思議と、目に熱い物が溢れてた。




おしまい。